US Facebook (米フェイスブック)は性的マイノリティと呼ばれる人たちに配慮するため、「男・女」以外に「Custom (カスタム)」ジェンダーとして56種類のオプションを追加しており、全58種類の性別が用意されています。
フェイスブックの公式発表によれば、LGBT 権利擁護団体によって構成された Network of Support と協力してジェンダーオプションを作成した。
Facebook Diversity
また、「Pronoun (代名詞)」の設定を追加し、ユーザーを指し示す際に使う代名詞も「男性用(he/his)」「女性用(she/her)」「中性用(they/their)」から選択可能にした。
とあり、X ジェンダーや LGBT の人たちの、性自認の多様性を含めた表現が盛り込まれています。
しかし現在では、この性別のカスタム機能はアメリカ版「English (US)」の Facebook のみ利用可能となっています。
なので一度、言語を「English (US)」に変更して性別設定を行い、また日本語に戻すというプロセスが必要になります。
では、今回は56種類の「Custom」ジェンダーの説明と設定方法をご紹介したいと思います。
Facebook 56の「Custom」ジェンダーオプション
用意されている56種類のジェンダーオプション。
ジェンダー名を入力して設定する方式で、アルファベットを入力すると候補が並ぶ。
複数のジェンダーを設定して自分を表現することも可能です。
ジェンダーリスト
- Agender/無性別者。
- Androgyne/両性。男性・女性のはっきりとした身体的区別のできない人。
- Androgynous/両性的・中性的。性の差異を超えて自由な思考や行動をする人。
- Bigender/両方のジェンダーを自認して男性・女性を切り替えている人。
- Cisgender/身体的性別と自分の性認識が一致している人。
- Cisgender Female/身体的性別が女性で自己を女性と認識している人。
- Cisgender Woman/Cisgender Femaleと同義。
- Cisgender Male/身体的性別が男性で自己を男性と認識している人。
- Cisgender Man/Cisgender Maleと同義。
- Cis/Cisgender の略称。
- Cis Female/Cisgender Femaleと同義。
- Cis Woman/Cisgender Femaleと同義。
- Cis Male/Cisgender Maleと同義。
- Cis Man/Cisgender Maleと同義。
- Female to Male/身体的には女性であるが性自認が男性の人。
- Male to Female/身体的には男性であるが性自認が女性の人。
- FTM/Female to Male の略称。
- MTF/Male to Female の略称。
- Gender Fluid/ジェンダーが流動的な人。自己意識として男性・女性の間を揺れ動いている状態で2重の生活をしている人。
- Gender Nonconforming/包括的に(レズビアン・ゲイも含む)既存のジェンダー分類に当てはまらない人。
- Gender Questioning/自分の性認識が未確定の人。
- Gender Variant/生物学的性や性自認と異なる人。同性愛者なども含めた広義の概念を持つ。
- Genderqueer/既存のジェンダー分類に当てはまらず、一言で表せない性・アイデンティティを持った人。
- Intersex/中間的な性・半陰陽者・両性具有者。遺伝子、染色体、性腺、内性・外性器などの一部またはすべてが非典型的である人。
- Neither/男性・女性のどちらでもない人。
- Neutrois/性別がないと自認している人。身体的無性になりたいと考える人。
- Non-binary/第3の性。ジェンダーを男性・女性に限定せず、両性が混合または中間的、もしくは全く違うものを感じる人。
- Other/その他。
- Pangender/性愛思考に関係なく、性別という概念を気にせずに自分を自由に捉えて扱っている人。
- Trans/性同一性障害。生まれ持った性と自認している性が一致しない人。
- Trans*/Trans を包括的に捉えた表現。「*」は性同一性障害すべてのアイデンティティを指し、その多様性を狭義的に分類せず、包括的に捉える意味。
- Trans Female/身体は男性であるが性自認が女性の人。
- Trans* Female/Trans Female を包括的に捉えた表現。
- Trans Woman/Trans Female と同じ。
- Trans* Woman/Trans* Female と同じ。
- Trans Male/身体は女性であるが性自認が男性の人。
- Trans* Male/Trans Male を包括的に捉えた表現。
- Trans Man/Trans Male と同じ。
- Trans* Man/Trans* Male と同じ。
- Trans Person/身体と心の性別に違和感・不一致感を持つ人。
- Trans* Person/Trans Person を包括的に捉えた表現。
- Transgender/性同一性障害。生まれついた性と自認している性が一致しない人たちの総称。
- Transgender Female/性不適合者で女性であると自認している人。広義では女性に性転換した人も含む。
- Transgender Woman/Transgender Female と同義。
- Transgender Male/性不適合者で男性であると自認している人。広義では男性に性転換した人も含む。
- Transgender Man/Transgender Male と同義。
- Transgender Person/性不適合者。広義では性転換した人も含む。
- Transfeminine/どちらかというと女性と自認しているトランスジェンダー。
- Transmasculine/どちらかというと男性と自認しているトランスジェンダー。
- Transsexual/性同一性障害で性別適合手術などにより身体の性転換を望む人。
- Transsexual Female/性別適合手術などによって女性になった人。
- Transsexual Woman/Transsexual Female と同義。
- Transsexual Male/性別適合手術などによって男性になった人。
- Trenssexual Man/Transsexual Male と同義。
- Trenssexual Person/性転換者。
- Two-spirit/ネイティブ・アメリカンの伝統的に認識されてきた多様なジェンダー・ロール(性役割)を担う人。
Facebook「Custom」ジェンダーの代名詞
「Custom」設定では「代名詞」の設定があり、あなたがどのように呼ばれたいかを選ぶことができます。
友達などが、自分を呼びかけるときの参考となるように表示させておくものですね。
「her/she (彼女)」「hem/he (彼)」「them/they (性別を特定しない)」の3つから選択できます。
「What pronoun do you prefer?(あなたはどのように呼ばれたいですか?)」の下のプルダウンで3種類の中から選択することができます。
- Female:Wish her a happy birthday!
- Male:Wish hem a happy birthday!
- Neutral:Wish them a happy birthday!
「誕生日おめでとう」の例文で選択するようになっています。
それぞれ、設定した場合の表示が次のとおり。
※ ( )内は言語設定が日本語の場合。
- ❶を設定すると「She (彼女)」と表示。
- ❷を設定すると「He (彼)」と表示。
- ❸を設定すると性別を特定しない「They (彼ら)」と表示。
「They」は複数人を表す代名詞ですが、LGBT コミュニティなどでは近年、性別に中立な代名詞として単数形の意味で使われるようになっています。
ただし、日本語表示では「彼ら」と直訳ぎみ。
Facebook「Custom」ジェンダーの公開範囲
実は公開範囲もカスタム設定ができるのですが、パソコンもしくは iPhone などでは PC 表示(デスクトップサイト)からでないと利用できません。
公開範囲のカスタム設定では、公開もしくは友達のみ公開するが特定の人には公開しない設定や、また逆に非公開だが特定の人のみ公開するなど、様々な設定が可能となっています。
公開・非公開ともに特定の人を設定したい場合は、そのユーザー名を入力すれば設定可能です。(複数可)
Facebook「Custom」ジェンダーの設定方法
Facebook ジェンダーのカスタム設定はアプリからはできません。
また、言語が日本語の Facebook では利用不可となっていて、現在ではアメリカ版「English (US)」の Facebook のみ利用可能となっています。
なので、iPhone から性別(ジェンダー)のカスタム設定を行いたい場合は「Safari」などのブラウザから Facebook にログインして言語を「English (US)」に変更してから行わなければなりません。
では、ジェンダーの設定手順を見ていきましょう。
- 「Safari」などのブラウザアプリを開く。
- 検索ボックスに「Facebook」と入力。
- 検索トップに出てくると思うので「https://m.facebook.com」の URL を確認して「Facebook」をタップする。
- 「メールアドレスまたは電話番号」と「パスワード」を入力。
- 「ログイン」ボタンをタップ。
- ログインしたら右上の「メニュー(三本線)」をタップ。
- 一番下までスクロール。
- 「English (US)」をタップして言語を変更する。
- 「メニュー(三本線)」をタップ。
- 「ユーザー名」をタップ。
- 「About」をタップ。
- 下にスクロールして「BASIC INFO」セクションへ。
ジェンダーの編集
- BASIC INFO の「EDIT」をタップ。
- 「Custom」をタップ。
- 「Gender」の入力ボックスに、56のジェンダーオプションの中から自分に合ったジェンダー表現を入力する。
アルファベットを打ち込むと候補が自動表示されます。 - 候補から選択する。
今回は「Genderqueer」に設定します。
ちなみに複数のジェンダーを入力することもできます。
自分のジェンダーを表現するために複数用いる場合などにいいですね。
ジェンダー代名詞の編集
- 「What pronoun do you prefer?(あなたはどのように呼ばれたいですか?)」の項目のプルダウンをタップする。
- プルダウン(ドラムロール)の3種類から選択。
今回は「Neutral:Wish them a happy birthday!」で設定します。 - 選んだら「完了」をタップ。
- 一番下までスクロール。
- 「Save」をタップして保存する。
Gender (性別)は「Genderqueer」、Pronoun (代名詞)は「They」に設定されました。
「Public = 公開」「Friends = 友達」「Only Me = 自分のみ」
設定は以上で終了なので言語を日本語に戻しましょう。
言語設定を日本語に戻す
- 「メニュー(三本線)」をタップ。
- 一番下までスクロール。
- 「日本語」をタップして言語変更。
日本語表示に切り替わったら完了です。
まとめ
カスタム設定した場合の「Pronoun (代名詞)」表記は次のとおりです。
左が English (US)、右が日本語。
上から女性、男性、無性や中性などの不特定。
性的マイノリティの性自認の多様性を理解する動きが広まっている中、実名登録が基本かつ世界的に有名な Facebook がこのように X ジェンダーや LGBT の人たちが個性的に自分を表現できるジェンダー(性別)のカスタム設定を取り入れたことは評価すべきことだと思います。
現在では、まだ米フェイスブックのみ利用可能ですが、English (US)で設定して日本語に戻すというプロセスで他言語でも利用できます。
英語だからと臆せず、この記事を参考に一度試してもらえればわかりますが、意外と簡単に設定することができるので、ぜひ利用してみてください。